前川試験機とは...
引っ張り、圧縮、曲げ、ねじり...
素材や製品の性能を見極める試験機を作り続けて100年以上の歴史を誇る
世界で数少ない「力の基準」になる装置を生み出す会社
総合試験機メーカー
前川試験機製作所
〈前川試験機製作所は何を作ってるの?〉
「自動車を軽くして燃費をよくしたい」
「ボディに使う金属の厚みをここまで薄くしても強度は大丈夫だろうか?」
「建築用にセメントの新素材を開発したが、どれほどの地震や台風に耐えられるか試験して確かめたい」等々.....
そんな場面で使われるのが、試験機という装置。素材を装置にセットして、引っ張ったり、圧力を掛けたり、曲げたり、ねじったりといったさまざまな方法で、素材を評価するのに使われている。
前川試験機製作所は、主に自動車で使われる金属や、建築材料として使われるコンクリートなどの評価をするための試験機を開発・製造しています。
現代において、新素材の研究開発は難易度が増し「ただ引っ張るだけでなく、ねじりながら引っ張って試験したい」など新素材の特性を見極めたい顧客からのさまざまな注文が増えそして応え続けています。今も売上の3~4割は新機能を追加するなどした特注品によるものです。
〈会社の強みは?〉
試験機がどれくらいの力を掛けているのか、試験機が掛けている力を正確に計測できているのか、などの評価に使われる「力計」の精度確認に用いられる「力基準機」。
試験機で計測する力は100分の1程度の誤差は許されるが、力基準機では1万分の1の範囲でしか誤差は許されない。それほど高精度に力の強さを計測するのは至難のこと。国内に試験機メーカーが数十社はあっても、力基準機を作ることができるのは当社を含めて数社しかありません。
「それだけの精度になると、温度が数度変わるだけで誤差が出てしまいます。当社には力校正室という専用施設があって、室温を常に一定に保っている中で計測を行っています。」
前川試験機製作所の創業は1919年です。創業時から今に至るまで、試験機を作り続けてきました。それだけの歴史があるからこそ技術が積み重なり、力基準機を製造するだけの技術が伝承されてきました。また、それだけ長い期間、試験機を作り続けてきたことは、顧客からの信頼にもつながっています。
「前川試験機製作所という社名は、業界ではある程度は知られています。長い年月にわたって試験機を作り続けてきたこと、海外をはじめ国の主要機関に力基準機を納めていることで顧客から信頼されています。」
〈職場としての魅力〉
前川試験機製作所の製品は、すべて大田区大森南にある事業所の中で製造されています。材料が届いたら部品へと加工し、装置を制御するための電子回路を組み、一台の装置へと組み立てていく。完成した装置は正確に駆動するかなどの検査をしてから顧客企業へ納品。その1年後には定期検査で顧客を訪問し、試験機を整備し精度の確認をします。
この一連の流れを、同じ事業所内にいる社員全員が体感できるのです。1つの部品を作るのではなく、最初から最後までの流れを間近に見ながら、1台の試験機全体を作り上げられる。そんなところにモノづくりの喜びを感じている社員も多い。当社では、さらに一連の流れを身近に感じられる職場にしようと、部門を超えて社員が集まる研修・勉強会を開くなど、部門間の垣根をなくそうと努力を続けています。